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タイの3姉妹が生むファンタジーの世界。SRETSISインタビュー

Jan 9.2019
  • インタビュー・テキスト:平原千波
  • 撮影:Yoko Sakamoto
  • 編集:川浦慧(CINRA.NET)

時に甘く、時にダークなファンタジーの世界を表現し、決して真似することのできないそのスタイルで世界中の女性を魅了する、タイを代表するブランド「SRETSIS(スレトシス)」。

SRETSISは、後ろから読むと「Sisters」=姉妹。その名の通り、タイの三姉妹が手がけるファッションブランドです。次女のピムさんがクリエイティブディレクターを務め、三女のマティナさんがジュエリーラインを担当。そして、ブランドマネージメントを一手に引き受けるのは長女のクライさん。

「持ち歩けるアートピース」を提案するギャラリーコンパクトでは、SRETSISに3つのイラストをデザインしていただきました。今回は、クリエイティブディレクターを務めるピムさんにお話しを伺います。

根底にあるのは、子どもの頃にわくわくした遊びの体験なのだと思います。

彼女たちが生み出すファッションは、「着る人を選んでしまうかもしれない」と、ためらってしまいそうなほどキュートで個性的。けれど、絶妙なカラー使いと身体のラインを美しく見せてくれるシルエットで、実は大人の女性にこそしっくり合うものばかりです。
SRETSISが手がけるカフェSRETSIS Parlourの店内
少女のように無垢なマインドの中に、時にダークなスパイスを効かせウィットに富んだSRETSISの世界。ハリウッドセレブや著名なアーティストなど、多くのファッショニスタからも愛され、ワールドワイドな人気を誇ります。そんなSRETSISの原風景とは?

ピム私たちは子どもの頃、よくお姫様ごっこやスタイリングごっこをして遊んでいました。私が妹のマティナをスタイリングして、姉のクライが撮影セットを作ってファッションモデルのように撮影する。

母のクローゼットからいろんな洋服や小物をひっぱり出してきては、3人のインスピレーションの赴くままにめちゃくちゃなスタイリングをしたり、時には身の周りにあるものでドレスのように仕上げてみたり……。

他愛もない遊びだけれど、とても楽しかった。物心付いてからは、イメージに合うドレスがないという妹のためにプロムドレスを縫ったこともあります。私たちのブランドの根底にあるのは、子どもの頃にわくわくした遊びの体験なのだと思います。

SRETSISのピムさん
子どもの頃は誰もが想像力にまかせてファンタジーの世界を生きていたのに、大人になるとともに夢の世界のことを忘れてしまう。けれど、SRETSISのファッションには、今も子どもの頃と同じようにわくわくしたり、ときめいたりする素直な気持ちが確かに息づいています。ピムさんのクリエイションのアイデアは、どんなところから生まれるのでしょうか?

ピム毎シーズン、次のコレクションのメインテーマを考える時は、その時恋したものや心がときめいたものを思い浮かべます。それがクリエイションの大きなヒントになっているのかも。

ハートは、SRETSISのシンボルとしてなくてはならないものなんです。

「恋」というキーワードが出てきましたが、ギャラリーコンパクトでは、みなさんの「ひとめぼれ」の瞬間を集める「ひとめぼれギャラリー」を展開します。ピムさんがひとめぼれする瞬間、心がときめくポイントって? まず見せてくれたのは、1枚の写真でした。

ピム 愛犬のライガーです。ブリュッセルグリフォンという犬種で、映画『スターウォーズ』のチューバッカや、デヴィッド・ボウイとジェニファー・コネリー主演の映画『ラビリンス / 魔王の迷宮』に出てくる「ルドー」というかわいいモンスターのキャラクターの元になったと言われています。

ライガーとの出会いは14年前の誕生日。妹のマティナがペットショップでライガーを見つけて、私のバースデープレゼントとして連れ帰ってきたんです。その愛くるしい姿にすぐさま恋に落ちました。今は14歳のおじいちゃん犬となり、糖尿病になってしまったけれど、今も変わらず大切な存在です。

ライガーは、癒しだけでなくインスピレーションを与えてくれる存在なのだとか。2015−2016年秋冬コレクション『Sretsis Labyrinth』で発表したテキスタイルには、ライガーをモチーフにした「ルドー」が登場しています。
『SRETSIS Labyrinth』で発表した、ライガーをモチーフにしたテキスタイル
ライガー
続いて見せてくれた写真は、記念すべきファーストコレクション『heart』のショーが行われた2003年の『ELLE FASHION WEEK』でのランウェイの写真。

カラフルな色使いとガーリーなデザインの中にハートを忍ばせたコレクションは大きな話題を呼び、SRETSISの名を一気に広めました。
2003年『ELLE FASHION WEEK』でのランウェイの様子
さらに、ジュエリーボックスからゴールドとレインボーカラーのハートのピアスを見せてくれました。

ピムファーストコレクションのテーマを「heart」としたように、私たちにとってハートはとても大切なシンボルなんです。大人も子どもも世界中の誰もが知っているシンプルでユニバーサルなマークなのに、心臓のシンボルでもあり、エネルギー溢れる力強さを感じさせてくれる。ロマンチックであると同時にタフな部分に強く惹かれるんです。

SRETSISの要素はロマンスだけではありません。ユーモアもエッジも普遍性も力強さもある。ハートはSRETSISのシンボルとしてなくてはならないものなんです。ハートモチーフのピアスやイヤリングは毎シーズン必ず登場しますが、大きなオープンハートのピアスは私にとっては欠かせないアイテムです。ファッションを引き立ててくれるし、身につけるたびに華やいだ気持ちになれるんです。

オープンハートのピアス
フランスの老舗シューズブランド「CAREL」とコラボレーションし、2018−2019年秋冬コレクション『MAGIC HOUR』で発表したローヒールパンプスは、ピムさんが少女の頃にときめいていたというメリージェーンを、大人用へとアップデートしたもの。

ピム子どもの頃、レトロでかわいらしいメリージェーンの靴が大好きでした。CARELとコラボレートするにあたり、デイリーにもパーティーにも合うものにしたいと考えたんです。クラシカルな雰囲気はそのままに、大人の女性に似合うようなセクシーなエッセンスを散りばめて……。イメージ通りのシューズが目の前に現れたんですから、ときめかないわけにいきません!

2018−2019年秋冬コレクション『MAGIC HOUR』で発表したローヒールパンプス
最後に見せてくれたのは、ラトビア出身のアーティストマリーナ・テラウズ(Marina Terauds)によるユニコーンの絵です。

ピムこのファンタジックなユニコーンの絵は、マティナからのプレゼント。マティナの友人である彼女の作品は、400年前の活版印刷の技術で1枚1枚印刷されています。人のぬくもりを感じるレトロな味わいが本当に素敵です。

私の名前とシリアル番号が付いた、私だけの特別な1枚。ファンタジーの世界に住み、希望と夢の象徴でもあるユニコーンはSRETSISの世界観に欠かせない存在です。

マリーナ・テラウズ(Marina Terauds)によるユニコーンの絵

少女のように突然心が奪われてドキドキするようなひとめぼれは、みんなきっと経験があるはず。

「ひとめぼれ」をテーマにイラストを描いていただいた、ギャラリーコンパクトには、どんな想いを込められたのでしょうか。

ピム実は、SRETSISが初めて日本でショーを開催する時にスポンサーをしてくださったのが資生堂です。なので、驚きましたが、とても光栄に思いました。

テーマが「ひとめぼれ」と聞いて、ラビリンスをテーマにした2015−2016秋冬コレクションのモチーフが浮かびました。この時のコレクションは日本で評判が高かったですし、SRETSISの世界観をよく表したアイコニックなモチーフに溢れていたからです。

鹿とうさぎがミックスされた「ジャッキー」、愛犬がモチーフになった「ルドー」、ホワイトタイガーからインスパイアされた「ケニー」、鳥や白馬に乗った女の子、そして様々な花があしらわれていますが、どれも自分自身がひとめぼれしたものからインスピレーションを得ているんです。わくわくしたり、ときめいたりする気持ちは子どもやティーンのものだけではなく、大人にもあるもの。そんな気持ちをずっと忘れないでほしい、手に取った人がハッピーになってほしい、そんな想いでデザインしました。

SRETSISによるギャラリーコンパクト
女性にとってメイクアップは、日常的に気分が上がる身近な行為。だからこそ毎日手にするアイテムは心がときめくもので揃えたい。SRETSISのハッピーなオーラに満ちたコンパクトは、きっと日常の世界にハッピーなマジックをかけてくれるに違いありません。
ARTIST PROFILE
SRETSIS
タイ出身のデザイナーPim、マーケティングのKly、ジュエリー担当Matinaの3姉妹が手がけるファッションブランド。ブランド名は、“sisters”を後ろから読んだもの。シルエットがキレイなことで、大人の女性からも支持され、ハリウッドセレブも夢中。日本でも旗艦店「SRETSIS Inn」がオープンしたほかセレクトショップでも取り扱われ始め、ファンは急増しています。

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